どうも。
うたたねこです。


昨日は毎日書道展の関西展を見るために、大阪まで行ってきました。基本は京都での開催らしいですが、前回と今回は大阪で開催。個人的には大阪の方が近いので助かります。

毎日展では漢字はもちろん、様々なジャンルの作品が展示されていました。私は目前に迫った展覧会に向けて、前衛書を中心に鑑賞して勉強です。

人の作品は客観的に見ることができるので、良い点だけでなく悪い点もよく分かります。そしてその悪い点が自分の作品にあるか見てみると、これがガッツリ当てはまる訳で…。

ということで、今日は久々に「墨象作品の作り方。【制作のポイント③】」と名を冠して記事を書きます。過去の作品を振り返りつつ、毎日展で感じた悪い点を当てはめて辛口採点していきますね。





一応「制作のポイント①」と「制作のポイント②」のリンクも載せておきます。特に明確な繋がりがある訳ではないので、この記事から読んでも問題はありません。よければ一緒にご覧ください。

No.234b_ruins

ということで今日の墨象作品。今年の1月に出品した展覧会で入賞した作品です。なのですが…今改めて見るとなぜ入賞できたのかは全く分かりませんね。まぁ悪くはないと思うのですが…。

題材は「ruins」、日本語だと「廃墟」です。何かしら本を読んだかテレビを見たかしたときに、ふとこの単語が頭に浮かんだのだと思いますが…何だったんでしょうね。

タイトルは「巨大廃墟探索」…はい、今付けたタイトルです。当時何というタイトルにしたかはよく覚えていません。もしかするとタイトル不要の展覧会だったのかもしれませんね。

それでは辛口採点をば…の前に良い点も挙げておきましょう。一応入賞作品なわけですから、まさか悪い点ばかりということはありません。キラリと光るものがあったはずです。

まず上から下への流れは上手くいきました。きちんと筆脈が繋がっています。あとは「実践編②」で解説した作品の重心も上に持っていけたので、作品がそこまで重苦しくはなっていません。

そして最大のポイントは墨飛沫。特に真ん中の右回線による墨飛沫はかなり格好良く飛ばせました。下のパーツの左上への墨飛沫も勢いがあって良い感じです。

左右で1度ずつ線がはみ出しているので、上手く余白が分断されて広すぎず狭すぎず丁度よいくらいになりました。良い点はこんなところですね。

No.234b_ruins

続いては悪い点の確認。見やすさを考慮して作品を再掲しておきます。1つ目は「真っ黒すぎる」。墨量が多いと黒いのは当たり前なのですが、さすがに真っ黒すぎます。

毎日展でたくさんの前衛書を見ていると、遠くから見たときに真っ黒な部分が悪目立ちする気がしました。後半の掠れとの対比になるはずが、逆に掠れが悪目立ちを助長していた気さえします。

格好良い作品は、墨量が多くともそこには同時に掠れや白い部分が存在します。ただ真っ黒だと重苦しい印象になるのが、この掠れや白い部分があることで重苦しさがなくなるわけですね。

上の作品だと書き出し部分にが真っ黒すぎます。ここに何かしらの白い部分や掠れ、または滲みなどがあればもっと格好良くなりました。もう少し墨量の調整が必要です。

あとは下のパーツの墨量も多すぎましたね。これが作品の重苦しい印象をさらに強めています。ここの墨量をもっと減らせば、作品がもう少し軽い印象になるのではないでしょうか。

2つ目は「手数が少なすぎる」。これは私の師匠の作風がそうなので私もそうなりがちなのですが、残念ながら昨今の展覧会においては流行りではありません…。

パーツの数を増やすことで真っ黒すぎるという悪い点も解消しやすいので、作品は軽い印象になります。筆脈もあちらこちらへと動き回るので、見ていても面白いですね。

この作品についても、せめて上のパーツを2つに分けたらまた全然違ったと思います。ちょうど真っ黒になっている部分で分ける感じでしょうか。多分かなりスッキリするかと…。

No.234bα_ruins

その辺りの悪い点をペイントソフトで修正するとこんな感じに。ついでに上を少し詰めてその分を下の余白とすることで、重心をさらに上に上げました。

2つを見比べると、やはり修正前は上の真っ黒な部分が目立ちますね。そこを思い切って余白とすることで、かなりスッキリとした印象になったのではないでしょうか。

ということで、「墨象作品の作り方【制作のポイント③】」でした。前にも言いましたが、こういった書道系の真面目な記事は見返しやすいようまとめておきたいですね。

先日少し時間があったので、過去の記事やカテゴリに少し手を加えてみました。特にカテゴリはかなりスッキリしたかと…。3周年までには、何とか形にしたいと思います。

では。次の更新は8月23日の予定です。




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