どうも。
うたたねこです。
1月の終わりから「令和」を題材とした墨象作品をいくつか書きました。その作品を師匠に見てもらい、それからブログ記事としてまとめているときに気になったことが1つ。
さらにそれに関連して、先日展覧会用の作品を書いたときにも気になったことがありました。今日はそれらの内容について、「墨象作品の作り方」としてまとめていきます。
まずは「令和」を題材とした作品について。2つの作品に対して気付いたことがあったので、改めて作品を見ながらお話ししていこうと思います。
まずはこちらの作品。題材は隷書の「令和」です。全体を3つのパーツに分け、シャープな縦線と力強い横線の組み合わせをコンセプトとした作品でした。
そしてこの作品の問題点として師匠に挙げられたのが、同じようなパーツが多すぎるということです。まず縦線では真ん中のパーツの左側、傘のようになった部分が気になりますね。
さらに横線に至っては、同じようなサイズのパーツが同じような高さに3つ配置されてしまっています。墨量こそ違うものの、これでは面白味に欠けてしまうとのこと。
こちらは過去作品を同じ題材・コンセプトで書いた「転猫オマージュ」の作品。つまり基となった墨象作品があるわけです。その過去作品を見て気付いたことがありました。
こちらが基となった作品。転猫オマージュした作品と見比べてみると…驚くべき事実を発見しました。何と過去作品には上で挙げたような問題点が存在しないのです。
縦線1本1本の表情が異なっており、太さも一定ではありません。墨量を多めにした横線についても、線の向きや位置が違うので同じようなパーツには見えませんね。
確かに過去作品は少し寂しい感じがします。その辺りを改善したのが「転猫オマージュ」の作品だったのですが…。基とした作品の良いところを消してしまっては元も子もありません。
もう1枚「令和」を題材とした墨象作品で気付いたことがありました。題材は篆書で、2つの流れるような曲線を真ん中の黒い四角が繋いでいるという造形の作品です。
コンセプトは「シンメトリー」。しかし完全なシンメトリーではありません。全体の配置やパーツの大小を若干左右でずらしつつ、シャープな線をアクセントにして作品にしました。
そしてこの作品の問題点も「シンメトリー」。一般的に墨象作品において、シンメトリーな作品はあまり好まれません。そこにあえて挑戦していく天邪鬼スタイル…(笑)
この作品でいうと、左右にある「S」の形をしたパーツが同じような形になってしまったのが問題でした。一応墨量やサイズの差を付けたつもりだったのですが…足りなかったようです。
また、真ん中の四角いパーツが左右両方のパーツと繋がってしまっているのもよくありません。せめて左右どちらかには余白があった方がよかったようです。
こちらが上の作品の基となった作品。先ほど挙げた2点に注目して作品を見てみると…やはりどちらの問題点もこの作品には存在しないのです。
左右のパーツは明らかに大きさや角度が異なっていますし、真ん中の四角いパーツと右のパーツの間には余白がありますね。まぁ右上の墨飛沫は若干蛇足な気もしますが…。
「転猫オマージュ」は過去の作品と同じ題材、コンセプトで改めて作品を書くというものです。過去作品の良いところはしっかり確認し、新しい作品に活かさなくてはなりません。
続いては先日展覧会用の作品を書いたときに気になったことについて。1枚目がちょうど1年前に展覧会に出品した作品、2枚目は少し前に紹介した没になった作品です。
こちらについては作品自体に問題はありません。いやまぁ改善点を上げれば色々とありますが…今回の話の趣旨はそこではないのです。では何が問題なのかというと…。
1枚目の作品と今回展覧会に出品した作品は、どちらも最初に書いたものでした。展覧会用の作品制作となると、毎回10枚くらいは作品を書きます。それなのに出品したのは最初の作品…。
同じ作品を繰り返し書く理由はもちろん、より良い作品を仕上げるためです。前に書いた作品の問題点を確認し、それを次の作品に活かしていくというわけですね。
そう考えると「転猫オマージュ」も普段の作品制作と何ら変わらないのかもしれません。違うのは前の作品を書いてから新しい作品を書くまでに期間が空いているということだけです。
その繰り返し書くという作業、ここではせっかくなので「転猫オマージュ」といいますが、墨象作品においてうたたねこはどうもそれが苦手なようですね。
前半の話と共通するところもありますが、転猫オマージュが空回りしているのです。改善しているつもりが改悪となり、だんだん何を書いているのか分からなくなるという悪循環…。
ではこれからどうしていくべきなのか。普段の墨象作品制作を思い出してみると、例えば10枚作品を書けばだいたい10種類の作品ができていますね。同じ作品はあまり書きません。
うたたねこ的には、最初に書いた作品にもそれなりに利点があると考えています。前に書いた作品がないからこそ、あれこれ考えすぎずにのびのびと作品が書けるのではないかと…。
このスタイルを貫くのであれば、展覧会用の作品を書く時は大量の草稿を考えていかなければなりませんね。紙が大きいので、さすがにその場のノリでは作品は書けません。
しかし、繰り返し書くという作業ももちろん大切です。墨象作品においてこの作業をきちんとやり遂げるためにはどうするべきなのか…。
まずは作品を書いたときに、その作品の問題点をしっかり把握するということでしょうか。何となく次の作品に移るのではなく、ちゃんと考察してから次に進むべきなのでしょう。
ここで重要なのが、考えるのは作品を書く前だけにするということ。色々と考えながら作品を書くと、作品の流れや勢いがなくなってしまいます。
前に書いたものの長所と短所をきちんと把握し、いざ作品を書く時はあまり考えすぎずにのびのびと書く…これができれば苦労しませんね。
ということで、今日は墨象作品をどのように仕上げていくべきなのかというようなお話でした。非常に長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
最後の方でお話しした2つの作品の書き方、どちらがよいのかは私には分かりません。たぶん書道家の方にアンケートを取れば、圧倒的に後者を選ぶ方が多いとは思いますが…。
でも前者の方法を展覧会用の作品制作で試したことはまだありません。次回の展覧会は夏になりますが、その時に挑戦してみても良いのではないかと考えています。
少なくとも今年の「宇野雪村賞展」については、昨年以上にたくさんの作品を書く予定。その時はまたどんどんブログの方でも紹介していくので、ぜひお付き合いください。
では。次の更新は2月14日の予定です。
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うたたねこです。
1月の終わりから「令和」を題材とした墨象作品をいくつか書きました。その作品を師匠に見てもらい、それからブログ記事としてまとめているときに気になったことが1つ。
さらにそれに関連して、先日展覧会用の作品を書いたときにも気になったことがありました。今日はそれらの内容について、「墨象作品の作り方」としてまとめていきます。
まずは「令和」を題材とした作品について。2つの作品に対して気付いたことがあったので、改めて作品を見ながらお話ししていこうと思います。
まずはこちらの作品。題材は隷書の「令和」です。全体を3つのパーツに分け、シャープな縦線と力強い横線の組み合わせをコンセプトとした作品でした。
そしてこの作品の問題点として師匠に挙げられたのが、同じようなパーツが多すぎるということです。まず縦線では真ん中のパーツの左側、傘のようになった部分が気になりますね。
さらに横線に至っては、同じようなサイズのパーツが同じような高さに3つ配置されてしまっています。墨量こそ違うものの、これでは面白味に欠けてしまうとのこと。
こちらは過去作品を同じ題材・コンセプトで書いた「転猫オマージュ」の作品。つまり基となった墨象作品があるわけです。その過去作品を見て気付いたことがありました。
こちらが基となった作品。転猫オマージュした作品と見比べてみると…驚くべき事実を発見しました。何と過去作品には上で挙げたような問題点が存在しないのです。
縦線1本1本の表情が異なっており、太さも一定ではありません。墨量を多めにした横線についても、線の向きや位置が違うので同じようなパーツには見えませんね。
確かに過去作品は少し寂しい感じがします。その辺りを改善したのが「転猫オマージュ」の作品だったのですが…。基とした作品の良いところを消してしまっては元も子もありません。
もう1枚「令和」を題材とした墨象作品で気付いたことがありました。題材は篆書で、2つの流れるような曲線を真ん中の黒い四角が繋いでいるという造形の作品です。
コンセプトは「シンメトリー」。しかし完全なシンメトリーではありません。全体の配置やパーツの大小を若干左右でずらしつつ、シャープな線をアクセントにして作品にしました。
そしてこの作品の問題点も「シンメトリー」。一般的に墨象作品において、シンメトリーな作品はあまり好まれません。そこにあえて挑戦していく天邪鬼スタイル…(笑)
この作品でいうと、左右にある「S」の形をしたパーツが同じような形になってしまったのが問題でした。一応墨量やサイズの差を付けたつもりだったのですが…足りなかったようです。
また、真ん中の四角いパーツが左右両方のパーツと繋がってしまっているのもよくありません。せめて左右どちらかには余白があった方がよかったようです。
こちらが上の作品の基となった作品。先ほど挙げた2点に注目して作品を見てみると…やはりどちらの問題点もこの作品には存在しないのです。
左右のパーツは明らかに大きさや角度が異なっていますし、真ん中の四角いパーツと右のパーツの間には余白がありますね。まぁ右上の墨飛沫は若干蛇足な気もしますが…。
「転猫オマージュ」は過去の作品と同じ題材、コンセプトで改めて作品を書くというものです。過去作品の良いところはしっかり確認し、新しい作品に活かさなくてはなりません。
続いては先日展覧会用の作品を書いたときに気になったことについて。1枚目がちょうど1年前に展覧会に出品した作品、2枚目は少し前に紹介した没になった作品です。
こちらについては作品自体に問題はありません。いやまぁ改善点を上げれば色々とありますが…今回の話の趣旨はそこではないのです。では何が問題なのかというと…。
1枚目の作品と今回展覧会に出品した作品は、どちらも最初に書いたものでした。展覧会用の作品制作となると、毎回10枚くらいは作品を書きます。それなのに出品したのは最初の作品…。
同じ作品を繰り返し書く理由はもちろん、より良い作品を仕上げるためです。前に書いた作品の問題点を確認し、それを次の作品に活かしていくというわけですね。
そう考えると「転猫オマージュ」も普段の作品制作と何ら変わらないのかもしれません。違うのは前の作品を書いてから新しい作品を書くまでに期間が空いているということだけです。
その繰り返し書くという作業、ここではせっかくなので「転猫オマージュ」といいますが、墨象作品においてうたたねこはどうもそれが苦手なようですね。
前半の話と共通するところもありますが、転猫オマージュが空回りしているのです。改善しているつもりが改悪となり、だんだん何を書いているのか分からなくなるという悪循環…。
ではこれからどうしていくべきなのか。普段の墨象作品制作を思い出してみると、例えば10枚作品を書けばだいたい10種類の作品ができていますね。同じ作品はあまり書きません。
うたたねこ的には、最初に書いた作品にもそれなりに利点があると考えています。前に書いた作品がないからこそ、あれこれ考えすぎずにのびのびと作品が書けるのではないかと…。
このスタイルを貫くのであれば、展覧会用の作品を書く時は大量の草稿を考えていかなければなりませんね。紙が大きいので、さすがにその場のノリでは作品は書けません。
しかし、繰り返し書くという作業ももちろん大切です。墨象作品においてこの作業をきちんとやり遂げるためにはどうするべきなのか…。
まずは作品を書いたときに、その作品の問題点をしっかり把握するということでしょうか。何となく次の作品に移るのではなく、ちゃんと考察してから次に進むべきなのでしょう。
ここで重要なのが、考えるのは作品を書く前だけにするということ。色々と考えながら作品を書くと、作品の流れや勢いがなくなってしまいます。
前に書いたものの長所と短所をきちんと把握し、いざ作品を書く時はあまり考えすぎずにのびのびと書く…これができれば苦労しませんね。
ということで、今日は墨象作品をどのように仕上げていくべきなのかというようなお話でした。非常に長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
最後の方でお話しした2つの作品の書き方、どちらがよいのかは私には分かりません。たぶん書道家の方にアンケートを取れば、圧倒的に後者を選ぶ方が多いとは思いますが…。
でも前者の方法を展覧会用の作品制作で試したことはまだありません。次回の展覧会は夏になりますが、その時に挑戦してみても良いのではないかと考えています。
少なくとも今年の「宇野雪村賞展」については、昨年以上にたくさんの作品を書く予定。その時はまたどんどんブログの方でも紹介していくので、ぜひお付き合いください。
では。次の更新は2月14日の予定です。
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